医療業界の格差事情

社会問題となる医療格差「診療科目と医師の数」

診療科目ごとに医師数に差がある?

診療科目ごとに医師数に差がある?

診療科目ごとに医師の数が足りている、または足りていないという格差があります。この医療格差は「充足度」という数値で測ることができます。充足度が高い診療科目は、就活や転職活動を考えている医師にとって門戸が狭く、充足度が低い診療科目は狙い目と言えるかもしれません。

医師の充足度で現役医師の負担が分かります

医師の「充足度」という数値があります。厚生労働省の統計結果を元に、(現役医師数+求人医師数)÷現役医師数=充足度という公式を使って測ります。100%に近いほど充足度は高く、必要な医者の数が足りている状況になります。充足度が高ければ、現役医師の負担は軽くなります。100人の患者を10人で診るのに比べると20人で診たほうが負担が軽いのは明らかです。また新しい若い医師が補充されないと困る診療科目もあります。退職医師が多く、その補充をする必要があるためです。年齢的に退職を迎える人もいれば、様々な理由で医師を辞めていく人がいます。安定していて高収入を得られる医師は、ずっと働き続ける人がほとんどだと思われがちですが、人が入れかわる動きが激しい業界のようです。

充足度の高い診療科目とは?

診療科目別に、先述した医師の充足度に大きな差があります。最も充足している診療科目は93%、充足していない診療科目は78%と、とても大きな差です。それでは具体的にどの診療科目の充足度が高いのでしょうか。「形成外科」の充足度は93%と、診療科目別で最高の数字になっています。続いて「小児外科」「美容外科」になっています。一方で「現役医師数+必要な医師数」でみると、形成外科は25位、小児外科は30位、美容外科は39位という結果になっています。形成外科や小外科、美容外科は、世の中に必要とされているというよりも、「医師が選びたい診療科目」ということができます。上位の診療科目の医師は、なりたい人が多くしかし必要十分なので仕事に就けないという人気の狭き門の診療科目ということができるでしょう。

充足度が低い診療科目とは?

形成外科や小児外科、美容外科と対極にいる、充足度が低い診療科目も見ていきましょう。「リハビリ科」の充足度は77%で、「救急科」の充足度も78%とかなり低めの数字が出ています。救急科に関しては、テレビのニュースなどでも救急医が足りずに、救急車に乗ったまま街を走り回り、病院をたらい回しにされる映像を見たことがあるかもしれません。リハビリ科に関しては、まだ標榜認可が下りてから20年前後と歴史が浅いことも原因のひとつで、一般的ななじみが薄いことが低い充足度につながっている面があります。充足度が低くということは、就活や転職を考えている医師にとって、門戸が開かれていることになります。またリハビリ科の仕事は、平日日勤のみの仕事で、夜間や休日の呼び出しが基本的にないため家族を持つ女性にも向いている診療科目と言えるでしょう。将来的な需要も高く、今後注目されて充足度が高くなることが期待されます。

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